「骨貯金」を始めましょう

将来、介護のいらない自立した生活を送るためには、丈夫な足腰を維持して自由に動けることが大切です。
運動器の衰えが原因で、日常生活に支障をきたしている状態を「ロコモティブシンドローム」といいます。

その予備軍のひとつが、骨のトラブル。
中でも「骨粗しょう症」になると、転倒によって骨折を起こし、要介護や寝たきりになるリスクが高くなります。

そうならないためには、日々コツコツと丈夫な骨を作る「骨貯金」を始めましょう。
日常生活の中でこまめに続けることで、健康で強い骨を育てられることが期待できます。

目次

あなたの骨は大丈夫?

骨粗しょう症セルフチェック












※日本酒で3合以上、ビールで500ml以上、ワインでグラス5杯以上/1日あたり

いかがでしょうか?
1つでも当てはまれば、骨粗しょう症になる可能性があります。
生活習慣の改善と早めの受診をしましょう。

骨粗しょう症とは

骨量が低下して、骨が軽石のようにスカスカになった状態のことです。
初期の頃は自覚症状がない場合が多く静かに進行していくため、決して油断できません。
自分の骨量に不安がある場合は、骨密度を測定して、骨の状態を知っておくと安心です。

骨量は閉経から急激に減少

私たちの骨は、成長期に増加し、20歳頃をピークに減少していきます。
特に女性は、閉経を迎える50歳前後から急激に減少し、その後も緩やかに減り続けます。

※出典:公益財団法人 骨粗鬆症財団 発行「骨の健康考えてますか?

女性は閉経後、女性ホルモンが減ると骨量が急激に減少しやすくなりますが、骨量は誰もが同じように減っていくわけではありません。年齢や体質、偏食やダイエット、喫煙や飲酒、運動習慣などによって、個人差があります。

骨粗しょう症は高齢者がなる病気で、若いうちは関係ないと思われがちですが、年齢・男女を問わず起こることがわかっています。
最近では、若い女性の発症も増えています。

骨は毎日、壊されては作られる/骨の新陳代謝のメカニズム

骨は、丈夫でしなやかな状態を保つために、古い骨を壊し、新しい骨に作り変える新陳代謝を絶えず活発に行っています。
健康な骨は、この「骨を壊す」と「骨を作る」のバランスがつり合っています。

しかし、加齢やホルモンバランスなどにより、カルシウムの吸収が悪くなったり、ビタミンDをうまく合成できなくなったりすると、骨を作る働きが低下して、骨を壊す働きに追いつかなくなり、だんだんと骨がスカスカになっていきます。

*骨の新陳代謝のメカニズム

骨の細胞には、骨を破壊する「破骨細胞」と骨を新しく作り出す「骨芽細胞」があります。

古くなった骨は、「破骨細胞」によって破壊され、骨の構成成分であるカルシウムやコラーゲンが血液中に溶け出す。
② 破壊・分解された部分に「骨芽細胞」が集まって、新しい骨を再生。


こうして「壊す」と「作る」のバランスがとれているときは骨量が一定で、骨の強度を保つことができます。

骨は何歳からでも強くできます

運動習慣や、バランスのよい食事を心がける、日頃から日光を浴びるなどの生活習慣が骨を丈夫にすることがわかっています。

そこで、今すぐ始められる骨力アップの方法をご紹介します。
骨粗しょう症になる前に、日常生活の中で少しずつ骨貯金をしましょう。

毎日コツコツ骨貯金!〜「運動・日光」で健康な骨へ〜

骨の健康に大切なのが、骨に負荷をかける運動を行うこと。
衝撃によって骨代謝が促され、骨量がアップします。
実行できそうなことを日々習慣的に続けることで、骨の健康を維持することが期待できます。

1. ウォーキング、散歩

ウォーキングや散歩など、かかとに重力がかかる運動は骨貯金におすすめです。
散歩や家事、階段の昇降など、日常生活の中で運動量を増やしましょう。

・1日7,000~8,000歩(または1回30分程度)を目安に。
・歩幅はできるだけ広めに、つま先で地面を蹴り、かかとから着地する。

2. かかと落とし

つま先立ちになってから、床にストンとかかとを打ちつける「かかと落とし」。
ジャンプしたり、足踏みしたり、かかとに刺激を与える運動です。
テレビを見ながら、バスを待ちながら、電車の中で手すりにつかまりながら、食事の支度をしながら…など、無理なくできるところから始めましょう。

・両足をそろえてまっすぐ立ち、かかとを上げる。つま先立ちの姿勢から、かかとをストンと一気に落とす。
・2秒に1回のペースで、1日50回を目安に。
・姿勢が不安定な場合は、いすの背や壁につかまって行ってください。

3. 毎日気軽に日光浴

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、日光にあたることで体内で作ることができます。
ストレス解消や気持ちが上向きになるなどの良い効果も期待できます。

・冬は1日1~2時間程度、夏は5~10分程度。

すでに骨粗しょう症の診断を受けている人、関節に痛みがある人は、主治医の指示に従ってください。また、転倒の危険性がある場合は、行わないでください。

毎日コツコツ骨貯金!〜食事に摂り入れたい「3つの栄養素」〜

健康な骨づくりのためには、「カルシウム」「ビタミンD」「ビタミンK」の3つの栄養素をバランス良く摂ることが重要です。
この3つの栄養素は『骨のゴールデン・トライアングル』と呼ばれています。
ぜひ普段の食事に摂り入れてみましょう。

骨のゴールデントライアングルとは

【Ca】骨の材料になる「カルシウム」

・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
・魚介類(しらす干し、ししゃも、鯖)
・大豆製品(納豆、木綿豆腐、高野豆腐)
・野菜類(小松菜、チンゲン菜、枝豆)

【D】カルシウムの吸収を促し、筋力を高める「ビタミンD」

・魚介類(鮭、さんま、しらす干し)
・きのこ類(干ししいたけ、乾燥きくらげ)

【K】カルシウムを骨に沈着させる「ビタミンK」

・緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草、ブロッコリー)
・発酵食品(納豆、キムチ)
・その他(鶏もも肉、卵)

カルシウムと2つのビタミン

健康な骨を作るには、骨の主材料である「カルシウム」をとることが基本です。
しかし、カルシウムを効率よく摂取するには、吸収率を高める「ビタミンD」、沈着を助ける「ビタミンK」とあわせて摂ることが大切なのです。

日光にあたると体内でビタミンDは合成できますが、屋内で過ごすことが多い人や年齢等によりビタミンDを作る働きが衰えてきた方は、食事からしっかり摂りましょう。

オイルをプラスして吸収率UP

ビタミンDとKは油脂に溶け込むことで吸収率がUPするので、オイルをちょっと足したり炒め物や揚げ物にするなどの工夫を。

たんぱく質は欠かせない栄養素

たんぱく質は筋肉や皮膚を作るのにも欠かせない栄養素。骨の質を高めるコラーゲンの材料にもなります。
しなやかで骨密度の高い、強い骨を作るには、コラーゲンとカルシウムが必要です。

運動や食事を意識して、将来、介護のいらない自立した生活を送れるように「骨貯金」始めてみませんか?

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